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Allenの重り落下変法を用い成猫脊髄に脊髄挫傷モデルを作成し,受傷直後に有茎大網移植を施行した移植群(12頭)と,移植を施行しなかった対照群(11頭)について挫傷脊髄の創傷治癒に及ぼす大網移植の効果を検討した。受傷後1,2,3,4週に墨汁灌流後に組織標本を作成し,出血・壊死,脱髄,空洞などの変化を観察し,体性感覚誘発電位を受傷直前,直後,1,2,3,4週に記録した。空洞面積は画像解析装置により計測した。1週後では対照,移植群とも,ほぼ同じ範囲の出血・壊死,脱髄,空洞であった。移植群では空洞の大きさは2週より縮小がみられその後も週を追って縮小した。対照群では2週で縮小がみられず3週からみられた。4週の空洞の大きさを比較すると統計学的有意差をもって移植群は対照群より小さかった。脱髄は対照群では週を経るに従い強く広く進行したが,移植群ではその進行は著明に抑制され,出血・壊死も移植群で著明に抑制された。移植群では3週以降に大網,線維性被膜,軟膜,損傷脊髄などの小血管内に墨汁粒子を認めたが対照群においては4週においても認めなかった。体性誘発電位は3,4週後の移植群において受傷前の波形を記録したが対照群では4週でも記録できなかった。これらの成績は大網移植が挫傷脊髄に対して創傷治癒を促進する効果のあることを示唆した。
The effects of autogenous omental transposition on spinal cord injury in cats were examined using a cord crush injury model produced by a modification of Allen's weight-dropping technique.
Twenty-three cats were divided into two groups: an omental transposition group, and a control group. The animals were sacrificed at 1, 2, 3, and 4 weeks after injury. The injured cords were examined histologically using India ink perfusion, morphometry of the spinal cord cavities and also by somatosensory evoked potential (SEP) studies.
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