学会印象記
ミクログリア研究の最近の動向—第1回ミクログリアに関する国際シンポジウムより
松本 陽
1
1東京都神経科学総合研究所神経病理学部門
pp.70-71
発行日 1994年1月1日
Published Date 1994/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406900586
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1932年にRio-Hortegaがミクログリアを記載しておよそ60年が経過した。その間この細胞ほど種々の面から議論された細胞もめずらしい。たとえばその由来についていえば,ミクログリアをアストロサイトやオリゴデンドログリアと同様に神経外胚葉に由来するとする考えと,血液細胞の一種であるとする考え方が長く議論された。さらに,ミクログリアの存在自体を疑問視する研究者すらいた。このような問題が生じた最大の原因はミクログリアを同定するのが大変困難であったことによると考えられる。従って,染色のアーティファクトと考える人もいた訳である。しかしながら,最近になってミクログリアを同定する方法がいくつか開発され,多くのことが明らかになりつつある。図には約30年間のミクログリアに関する論文の年度ごとの数が示されている。1985年を境にして論文数が飛躍的に伸びているが,これはミクログリアを免疫染色するための抗体が容易に入手できるようになった時期に一致している。
このような状況のなかで,第1回「ミクログリアに関する国際シンポジウム」がミュンヘン郊外のRingberg城において1993年10月17日より10月20日まで開かれた。参加者は34名で,主にドイツとアメリカの研究者が招待された。日本からは国立精神・神経センターの高坂新一先生と筆者が参加した。
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