Japanese
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特集 随意運動の神経機構—新しい考え方
基底核の役割
Role of the Basal Ganglia in voluntary Movement : A New Concept
木村 實
1
Minoru Kimura
1
1大阪大学健康体育部
1Faculty of Health and Sport Sciences, Osaka University
キーワード:
basal ganglia
,
voluntary movement
,
modular organization
Keyword:
basal ganglia
,
voluntary movement
,
modular organization
pp.605-616
発行日 1993年7月1日
Published Date 1993/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406900504
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はじめに
大脳基底核の疾患は重篤な運動の障害を特徴とするので,随意運動の神経機構において大脳基底核が重要な役割を果たすことは古くから推定されてきたが,その機序については曖昧のままであった。しかし大脳基底核の機能に関する知見が近年著しく増大した。それらは大脳皮質各領野から線条体への収束を特徴とした投射様式,基底核からの多チャネル出力の様式などの基底核を巡る機能的神経回路に関する知見,基底核諸核のニューロンの担う神経情報の内容についての新しい知見,更にこれらの新しい知見に基づいて大脳基底核の機能について検証されるべきモデルが提出され始めたことなどである。
本稿ではまず大脳基底核のモジュール機構の実体とその機能についての知見を紹介し,次いで線条体での異種神経情報の統合とその機能的意義について述べ,最後に大脳基底核は学習を通して習得した,目的をもった四肢の運動や行動,更にサッケード眼球運動や歩行運動に至るまで極めて多くの行動の機序に関与するために巧みに創られたと考えられる出力チャネル機構について述べる。
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