Japanese
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特集 脳神経系疾患の血管内手術法の進歩
脳腫瘍に対する血管内手術
Intravascular Surgery for Brain Tumors
根本 繁
1
Shigeru Nemoto
1
1東京大学医学部脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Faculty of Medicine, University of Tokyo
キーワード:
intravascular surgery
,
embolization
,
brain tumor
Keyword:
intravascular surgery
,
embolization
,
brain tumor
pp.421-430
発行日 1993年5月1日
Published Date 1993/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406900477
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I.はじめに
超選択的カテーテル法の進歩は血管内手術手技による脳神経疾患の治療を可能にした。特に脳血管障害における治療技術の進歩には著しいものがある。脳血管障害と並んで脳神経外科領域疾患の双壁をなす脳腫瘍治療においても血管内外科の有用性が広く認識されるようになった。
髄膜腫のような出血しやすい腫瘍の摘出にあたり,頸部で外頸動脈を結紮したり,その分枝である腫瘍血管の中硬膜動脈を凝固結紮することにより,出血量を減らす試みがなされてきた。しかしながら外頸動脈を頸部で結紮したにもかかわらず大量の出血を免れず,真っ赤な手術野で止血に時間を費し,不十分な手術に終わることが多く経験された。セルジンガー法による経大腿動脈選択的脳血管撮影が普及し,外頸動脈に誘導したカテーテルよりゼルフォーム細片を注入し,腫瘍血管を閉塞する試みがなされるようになったが27,43),腫瘍血管といつても脳動静脈奇形のようなhigh flowの拡張した血管とはなりにくく,腫瘍血管のみを選択的にかつ効率よく閉塞することが可能になったのは,マイクロインフユージョンカテーテルを用いた超選択的カテーテル法が開発されてからである1,10,12,31)。
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