Japanese
English
特集 ガラクトシアリドーシス
ガラクトシアリドーシスの生化学
Biochemistry of Galactosialidosis
辻 省次
Syoji Tsuji
キーワード:
galactosialidosis
,
sialidase
,
β-galactosidase
,
protective protein
Keyword:
galactosialidosis
,
sialidase
,
β-galactosidase
,
protective protein
pp.225-230
発行日 1991年3月1日
Published Date 1991/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406900169
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
ガラクトシアリドーシスは本邦に多くみられる常染色体性劣性遺伝性神経疾患で臨床症状としては軽度のガルゴイル様顔貌,脊椎の偏平化などの身体骨格症状と視力低下,cherry-red spot,ミオクローヌス,小脳失調,知能低下などの神経症状をあわせもつ疾患である1,2)。生化学的には,ライソソーム酵素であるβ—ガラクトシダーゼとシアリダーゼの両者が低下を示し,なぜ2種類の酵素が同時に活性低下を示すかという点については不明な点が多かった。ところが,近年になりprotective protein(保護タンパク)というタンパクの異常がこれら2つの酵素活性の低下をひきおこすことが発見され,その病態生理のメカニズムが急速に明らかにされつつある。さらに最近ではこのpro—tective proteinが,β—ガラクトシダーゼ,シアリダーゼ複合体の保護機能のみでなく,カルボキシペプチダーゼ活性,デアミダーゼ活性,エステラーゼ活性などを持つ多機能タンパクである可能性も指摘されておりprotective proteinの機能についてはさらなる解明が期待されている。一方,シアリダーゼについてはその精製がきわめて困難であることから,シアリダーゼについての分子レベルでの解明が今後期待される点である。
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.