書評
—監修 勝木 保次・内藤 耕二 総編集 星 猛・伊藤 正男—新生理化学大系 全23巻/—編集 鈴木 寿夫(弘前大学教授) 酒田 英夫(日本大学教授)—第12巻 新生理科学大系 高次脳機能の生理学
柴崎 浩
pp.500-501
発行日 1989年5月1日
Published Date 1989/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406206317
- 有料閲覧
- 文献概要
本書は1985年以来シリーズとして出版されている新生理科学大系の一巻で,神経生理学総論,感覚,運動,行動と続いた神経正理学を締めくくる形で最近出版されたものである。本書で取り上げられた高次脳機能は,近年進歩が著しい神経科学のなかでも特に注目されている領域の一つである。1967年に出版された生理学大系では,時実利彦編「脳の生理学」の1章「統合機能」として取り上げられたものに相当する。
高次脳機能の主座は連合野ということになるので,本書では,まず第1編として連合野そのものが取り上げられ,頭頂連合野,側頭連合野,前頭連合野の順に,それぞれ解剖,機能,電気生理学,および臨床面が解説されている。そして第2編では,連合野間の統合を取り上げ,半球間統合と連合野間の統合に分けて,それぞれ解剖学,生理学,および臨床的観点から論じてある。そして最後に最近の話題として,高次脳機能の比較心理,工学モデル,および心理テストについての解説が加えられている。
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.