寄稿
勝木保次先生の研究と想い出
田崎 一二
1
,
菅 乃武男
2
1米国国立衛生研究所
2米国ワシントン大学
pp.676-678
発行日 1994年8月10日
Published Date 1994/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431900567
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私の旧友の一人として永い年月に渡って交際があった勝木さんが他界したという訃報に接し,大変残念なことと思っています。生理学者として,東京医科歯科大学の学長として,また岡崎国立共同研究機構の初代機構長として勝木さんが日本の生理学に残した足跡は誰よりも大きなものであると思います。勝木さんにはいろいろな想い出があります。彼との交友を想いだしながら,私が経験した日本の神経生理学教室の一面を書いてみます。
昭和9年頃のことです。私が勝木さんに初めて会った時のことをはっきりと憶えています。東大の橋田邦彦先生の教室で山極,杉,本川さんらが主に神経筋生理学の研究をしている時に耳鼻科出身の勝木さんは聴覚に興味をもっていました。私は橋田先生の教室に出入りしていましたが,慶應出身ですので慶應の加藤元一先生の生理学教室に入りました。ここでは.実験しているのは臨床医ばかりで,橋田先生の所とは雰囲気が全く違うのに驚きました。私は加藤先生から郭さんと共同で脊髄反射を司る求心性と遠心性の単一神経繊維を分離せよと命ぜられました。
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