連載 症候学メモ・42
余滴(3)—神経学的診察のセンス
平山 惠造
1
1千葉大学神経内科
pp.635
発行日 1988年7月1日
Published Date 1988/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406206135
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◆絵をかくセンス,音楽を奏でるセンスがあるように,神経学的診察にもセンスがある。このセンスには,生まれながらにもっている部分と,指導を受けて獲得する部分とがある。生来,絵をかく優れた才能を持っていても,これを開花させてくれる機会がなくては良い絵かきにはなれない。
◆神経学の臨床レベルを向上させるにはどのようにしたらよいか,という話の出ることがある。内容豊かな講義を聴き,up-to-dateな講演を聞くことが直ぐに話題となる。これらが知識を豊富にしたり,頭の中を整理する上に大切なのはいうまでもない。しかし,これらはセンスを磨くのにあまり効用はない。絵をかく力量をつけるのに,教室で講義を聞くことも,展覧会で多くの優れた絵をみることもよいだろうが,所詮は自分で絵をかかなくてはうまくはならない。
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