書評
—総編集 河合 忠(自治医科大学教授) 只野壽太郎(佐賀医科大学教授) 臨床監修 阿部 正和(東京慈恵会医科大学学長)—今日の検査指針
柴田 進
1
1川崎医科大学
pp.246
発行日 1988年3月1日
Published Date 1988/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406206070
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前世紀(1819)にラエネックが間接聴診法を開発して,道具を使って患者を検査する現代臨床医学を発足させたが,それは今世紀初めに発達の頂点に達し,その後道具としてだけでなく器械を検査に用いるようになり臨床医学が専門分化し,殊に第2次世界大戦後にこの傾向が加速されつつある。その甲斐あって今日では,臨床医学が前世紀とは比べ物にならない高度の水準の診療をサービスし得る域に達した。検査なくして現代臨床医学の診療は成立し得ないと言ってよい現況である。
さきに「今日の治療指針」および「今日の診断指針」と題する2冊の良書が上梓され,好評を博したが,私はやがて検査についても同様の書物が出版されるだろうと期待していた。何故なら上に述べたように治療と診断を現代医療の舟とすれば,検査の理解と活用がなくては舟の舵をとって航海(診療)することが出来ないからである。果たせるかな,河合忠教授と只野壽太郎教授が日本臨床病理学会の会員を主軸にして,約300の検査の専門家諸氏を集め,臨床医学の大家である阿部正和学長と相談され,このたび「今日の検査指針」の編纂を終り,それを世に送られることになった。
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