連載 症候学メモ・37
上肢近位筋力の坐位・臥位での解離現象
平山 惠造
1
1千葉大学神経内科
pp.118
発行日 1988年2月1日
Published Date 1988/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406206049
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◆上肢近位筋力を坐位でみると弱いのに,仰臥位でみるとはっきりしない場合がある。即ち,患者を坐位にして,前方に上肢を仲展挙上させ,それを上から押すと,容易に腕は下ってしまう。ところが,仰臥位で腕を垂直に挙上させておいて,腕を足側へ引き下げようとしても筋力は結構よく保たれている(全く正常とはいえないが)。つまり,一見すると上肢近位の筋力が坐位と臥位とで解離してみえる。
上肢の近位とは正しくは遠位に対する語であるから,上腕部を指す言葉と理解されるが,ここでは肩甲帯部も含めた広い意味に用いている。手の握力はよいのに,腕の付け根の方は弱い,という場合である。
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