連載 症候学メモ・32
すくみ現象の解離
平山 惠造
1
1千葉大学神経内科
pp.878
発行日 1987年9月1日
Published Date 1987/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205974
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◆すくみ現象といわれるものがある。立った姿勢から歩き出そうとすると,足がすくんで前に出ない場合や,歩いているうちに歩幅が狭くなって来て,足がすくみ,上体ばかり前に進んで,前のめりになる現象(突進現象)である。人によってはこの両者を区別するが,同一患者に両者のみられることが多く,大部分はパーキンソン症状の部分現象としてみられる。
◆ところで,このような現象は,歩行に関連した足の動きにのみ出るとは限らない。上肢で最もよくみられるのは,手首での回内・回外反復運動をするときで,いわゆるdiad-ocho動作をさせるときである。ここで注意しなくてはならないのは,小脳症状患者にみられるadiadocho-kinesisとの違いである。後者は時間的にも空間的にもリズムが乱れるもので,動作をつづけさせてもすくんで行くことはない。このような症候にBabinskiはadiadococinesieという名称を与えている。従って,先述したパーキンソン症候にみられる手首のすくみ現象にadiadocho-kinesisという名を用いるのは適当でない。
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