書評
—編集 水野 美邦(自治医科大学助教授・神経内科)—神経内科ハンドブック 鑑別診断と治療
亀山 正邦
1,2
1京都大学
2住友病院
pp.1116
発行日 1987年12月1日
Published Date 1987/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406206017
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水野美邦氏編『神経内科ハンドブック』を読んだ。最近,この種の単行本は相ついで刊行され,それぞれに特色と美点とをもっている。重要なのは,それらを読む人たちが,それぞれの本のessenceを汲みとって,自分自身の診療の体系をどう組み立てるかということであろう。そのさい,あくまでも,科学的・客観的な体系の組み立てをはかる必要がある。臨床家が常に,基本に忠実に,また基本に立ち返って自己を磨いているのはそのためである。情報が重要なのは,この立場に立つときであろう。画像診断や機器診断の進歩,診療法のめまぐるしい変遷は,情報化社会では避けられない現象である。それにどう対処するのか,どれをとり,どれを捨てるのかは,むしろ各人の智慧による。ハンドブックの使命は,このような「知慧の書」となりうるか否かにあると,私は考えている。
水野氏編の本書はこの点で,まことによく書かれており,神経内科学のessenceをまとめた良書として,神経学を学ぶ人たちに推奨したい。
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