連載 症候学メモ・31
歯の治療と進行性球麻痺
平山 恵造
1
1千葉大学神経内科
pp.750
発行日 1987年8月1日
Published Date 1987/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205954
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◆進行性球麻痺または筋萎縮性側索硬化症の球麻痺型の患者では,しばしばその病歴の当初に歯の治療を受けて呂律が廻らなくなったと,訴えることがある。あたかも歯科治療と麻痺との間に因果関係でもありそうに聞こえる。歯科治療の中には無論抜歯が含まれ,また麻酔をかけたり,ということもある。
◆最近もまた,そのような患者を診察する機会があった。問診すると,呂律はどうということでなかったが,歯の具合が悪かったので,歯科医に行き,歯を数本抜いたという。歯は別に痛んでいたわけではない。では何故,歯科を受診したかを詳しく尋ねると,物がかみにくかったという。かみにくかったということはどういうことかと聞くと,それまでかめたものが,かみ切れなくなったということであった。右か左か,両側かについては明らかでなかった。
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