書評
—R.T.ジョンソン 著 監訳 植木幸明(新潟大学名誉教授) 翻訳 金沢光男(医療法人(財)公仁会理事長)—神経系のウイルス感染症
半田 肇
1,2
1京都大学
2浜松労災病院
pp.685
発行日 1987年7月1日
Published Date 1987/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205941
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本書はJohns Hopkins大学の神経学教授であり,微生物学教授でもあるDr. R. T. JohnsonのViralinfections of the nervous system(神経系のウイルス感染症)の邦訳である。監訳は故植木幸明新潟大学名誉教授,翻訳者は医療法人(財)公仁会理事長金澤光男博士である。
神経系のウイルス感染症に関する書物は数多いが,本書は臨床家を対象として,ウイルスによる神経系感染症の根本に横たわる機構を理解すれば治療法も自ら導かれるという前提に立って,神経系感染症の生物学に重点をおいて書かれた本である。Johnson教授は1950年代後期に神経系の急性感染症の診断と疫学の研究からウイルス学にとりくみ,1960年早期には実験的ヘルペス,狂犬病,アルボウイルス感染症の病理発生について,1960年後期にはウイルスの催奇性の問題について研究し,その後ウイルスの持続感染〜slowvirus infectionに関心を持ち,ウイルス感染症の実験病理学の研究に従事した。この30年間の研究の成果をまとめたのが本書である。基礎的にも臨床的にも偏ることなく,両領域を網羅し,簡潔に分り易くまとめられている。
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