書評
—Edited by Eric R. Kandel and James H. Schwartz—Principles of Neural Science
朝長 正徳
1
1東京大学医学部脳研究所
pp.133
発行日 1986年2月1日
Published Date 1986/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205654
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KandelとSchwartzによるCo-lumbia大学のメンバーによる神経科学の教科書の第2版が出版された。神経科学の近代の祖はJohnEcclesといわれるが,これは彼の著であるThe neurophysiologicalbasis of mindに始まる。しかし,当時はこの様な題名はあまりに大胆であったが,現在では神経科学者の多くがこの命題に取り組んでいる。しかも,新しい事実が毎日のように報告されているほどである。数年前に本書の初版が出されたが,非常に評判がよく,ここに第2版として,新しい内容を加えて出版された。この間の進歩として,組み替えDNA,monoclonal抗体法,パッチクランプ法,神経細胞のラベルおよびトレース法,脳のイメージ法による研究がくわえられた。
約1000ページにおよぶこの本は11部62章にわかれており,脳の概説,神経細胞の細胞・分子生物学,シナプス伝達の機構,神経系の構造と統合,感覚の細胞学的基礎,運動制御,脳幹と網様体,ホメオスターシス,高次機能の局在,行動の発達と機構,遺伝子・経験と行動よりなるが,この中には疾患についても多くのページがさかれている。たとえば,重症筋無力症,運動ニューロン病,末梢神経疾患,ミオパチー,脊髄疾患,意識障害,精神分裂病,痴呆,脳卒中についてもふれている。
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