書評
—編集 山田 博是(中部労災病院脳神経外科部長)—二分脊椎の臨床
森 惟明
1
1高知医科大学脳神経外科
pp.636
発行日 1985年7月1日
Published Date 1985/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205539
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死産するほど重症でない中枢神経系奇形で,出生時にはっきりと認められる奇形のうち最も頻度の高いものが脊髄髄膜瘤である。二分脊椎は椎弓の欠損のみの単純なものから,椎弓の欠損のみならず,欠損部から形成不全の脊髄が脱出したものまでいろいろな程度のものがある。その中で臨床上最もしばしば問題となるのが脊髄髄膜瘤で,正中背部とくに腰・仙部に腫瘤を形成する。
わが国では以前から二分脊椎の発生頻度が低いといわれていた。これは一つには統計のとり方にも関係していたかも知れない。しかし,10数年来の友人であるイギリスのLor—ber教授からの最近の手紙によると,イギリスでもその発生率が激減してわが国における発生率に近づいたらしい。たとえば,イギリスのSheffieldにおいては,最近3年間に20,000の出産のうち6人の発生をみたのみで,10年前においては3年間に60人の発生であったと伝えて来ている。
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