書評
—著 山田博是(名古屋大学講師)—小児の頭部CT診断
高橋 睦正
1
1熊本大学
pp.1140
発行日 1981年11月1日
Published Date 1981/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406204849
- 有料閲覧
- 文献概要
1972年にHounsfieldとAmbroseがCTの臨床応用についてはじめて報告して以来,わずか10年足らずの間にCTは臨床上,不可欠の診断手段となつた。中でも,神経疾患の診断に当たつては,CTは必須の診断法となつてきた。CTの臨床導入以来,多くの著書が出版され,また,論文も雑誌に発表されてきたが,小児神経疾患のCTによる診断についての報告は,比較的少なく,日常診療に当たつて診断上,困惑することが多い。
このような時に,山田博是博士が『小児の頭部CT診断』という著書を著されたことは誠に時宜を得たことと思われる。本書は第一部でCTの原理,正常像,異状陰影の読影について詳細にわたつて解説を試みている。CT所見をいくつかのグループに分けて解説しているので,日常診療で鑑別診断の困難な場合には,この本の第一部を見ればいくつかの疾患を挙げ,適切な鑑別診断を行うことができる。第二部では,小児神経疾患の多くをとりあげて各論的に解説を試みている。ここでは,CT所見のみでなく,臨床所見,病態生理,臨床検査成績などについても触れているので,CT上ある程度の診断が推定できれば,第二部を詳細に読影することにより,その診断が正しいか否かを検討することが可能で確定診断に至ることができる。
Copyright © 1981, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.