図解病態のしくみ
神経2.知覚障害
本多 虔夫
1
1横浜市民病院内科
pp.254-255
発行日 1974年2月10日
Published Date 1974/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205321
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知覚障害(総論)
知覚障害にはしびれ,灼熱感,掻痒感,蟻走感,痛みのような自覚的なものから,種々の刺激に対する感受性の亢進(知覚過敏),低下(知覚低下)のように他覚的なものまであり,これらは神経症状としては最も頻度の多いものの1つである.そしてこれを分析し神経系のどこの病巣によるものか,ひいてはどのような病巣によるものかを考察することはその疾患の正しい診断への鍵となることが少なくない.
知覚刺激は図のようにおよそ3種の伝導路によって伝えられる.すなわち四肢躯幹からの温覚,痛覚は末梢神経—脊髄視床路—視床放線によって,また位置覚,圧覚,振動覚などの深部知覚は末梢神経—脊髄後索—内側絨帯—視床放線によってである.触覚は両者によって伝えられる.顔面からの知覚は三叉神経を経て橋に入り,その中枢ニューロンによって視床,大脳皮質へと伝えられる.知覚障害は上記の伝導路が種々のレベルで侵される時に起こる.
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