Japanese
English
特集 肺病変の新しいRI診断法
新しい肺の換気検査法—N-13ガスを用いたPositron Emission Tomography(PET)
A new imaging of pulmonary ventilation using nitrogen-13 and positron emission tomography (PET)
伊藤 春海
1
,
村田 喜代史
1
,
千田 道夫
1
,
佐藤 仁一
1
,
米倉 義晴
1
,
鳥塚 莞爾
1
,
西村 浩一
2
,
泉 孝英
2
,
大島 駿作
2
Harumi Itoh
1
,
Kiyeshi Murata
1
,
Michio Senda
1
,
Jinichi Sato
1
,
Yoshiharu Yonekura
1
,
Kanji Torizuka
1
,
Koichi Nishimura
2
,
Takateru Izumi
2
,
Shyunsaku Oshima
2
1京都大学医学部放射線部核医学科
2京都大学結核胸部疾患研究所内科第2
1Department of Radiology & Nuclear Medicine, Kyoto University School of Medicine
2Second Department of Internal Medicine, Chest Disease Research Institute, Kyoto University
pp.21-29
発行日 1987年1月15日
Published Date 1987/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204985
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はじめに
放射性同位元素を用いて肺の閉塞性障害を診断しようとする試みは適切な製剤と撮像機器の開発によって可能となった。代表的な製剤として133Xeや81mKrが挙げられる。133Xeは入手しやすくしかもガスとしてのみならず生理食塩水に溶解封入した形でも利用できるため吸入法,静注法を問わず使える利点がある。それに物理的半減期が比較的長いため(5.3日)肺胞からの洗い出し過程が解析でき,肺局所の不均等換気の診断に使われている1)。一方133Xeの欠点はエネルギーが低く(81keV)ガンマカメラの特性に適合しているとは言いがたい。さらに133Xeは吸入後肺胞毛細血管への移行が無視できないほど大きい。これらの要因により画像は散乱線と肺以外の放射活性の影響を受け削除の空間分解能が劣化する。
ガンマカメラは初期の物に比べて感度や空間分解能に大幅な改善が見られ,しかも最近の装置はSPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)が得られるようハード,ソフト共に整備されている。これにより従来二次元の画像しか得られなかったが病巣のこ次元的把握が可能となった。このSPECTは脳,肝,心臓では大きな成果を挙げている。SPECTの肺への利用は肺血流の重力効果や肺静脈圧亢進時の血流のシフトなどの解析に用いられているが未開拓の領域がまだ存在すると考えられる2)。
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