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特集 神経皮膚症候群
神経皮膚症候群と中枢神経系腫瘍
Neurocutaneous Syndromes and Tumors of the Central Nervous System
高倉 公朋
1
,
寺本 明
1
Kintomo Takakura
1
,
Akira Teramoto
1
1東京大学医学部脳神神外科
1Department of Neuro-surgery, Faculty of Medicine, University of Tokyo
pp.36-48
発行日 1984年1月1日
Published Date 1984/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205249
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Ⅰ.はじめに
神経皮膚症候群という臨床概念には多数の疾患が含まれている。Cairns11)は50以上の病名を挙げphakoma—toses, developmental disorders, chromosomal disorders,およびacquired systemic disordersの4群に分けている。本稿では狭義の神経皮膚症候群ともいうべきpha—komatoses (母斑症)に属する疾患について述べることにする。
母斑症はvan der Hoeve112)によって提唱されて以来,幾多の概念の変遷を経て,最近では川村55)により,次のように定義されている。すなわち「母斑症とは皮膚と皮膚以外の器官とにわたって,母斑様病変(しばしば多少とも増殖傾向を有する組織奇型)を多発して,一つのまとまった病像を呈する疾患である」。母斑症の多くは胎生期に遺伝子の支配により体細胞に突然変異を生じたものと考えられている174)。この時,突然変異によって生じた細胞系(母斑症において主役を演ずる細胞系)とその誘導効果によって生じた組織変化を区別して考えるべきであるといわれる56)。以上のような観点から川村56)は,母斑症に属する疾患をTable 1のように分類し,主役を演ずる細胞(phakomatoblast)の発生母地を推定した。
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