書評
—編集 秋元 波留夫,大橋 博司,杉下 守弘,鳥居 方策—神経心理学の源流 失語編(上)
平山 恵造
pp.255
発行日 1983年3月1日
Published Date 1983/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205088
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神経心理学の基本となる歴史的論文を翻訳し,それに解説を加えることによつて,とかく読まれないままに放置されがちな原著に接することを容易ならしめようという意図のもとにこの出版がなされた。本書はそのような企画の第1巻で失語症の(上)ということになり,今後,失語症の(下),失行症,失認症も順次刊行が予定されている。このような出版の希望は多くの人の頭の中をかすy)るが,いくつかの難かしい問題の故になかなか実施されがたい。まず翻訳が内容的に正確である必要があり,また解説には単なる歴史的紹介ではなくて,その論文に発するテーマの迂余曲折の道程,そして現在における評価などに至るまでのものを必要とする。これらの条件を揃えるにはその領域を実際に専攻している人でなくてはよく成し符ない。これらの諸点は本書では大方は満たされているものと思われる。文章も解り易く,滑らかであり,解説の力作もいくつかの壁に読みとることができる。このような本書の内容から神経心理学を学ぶための好個の君ということができるし,十分推賞に値する。
本書に収載されているテーマは運動失語,感覚失語,伝導失語,語盲,アナルトリー,純粋語聾,などであり,今日的にもなおいろいろな問題点を蔵し,再検討,再研究のなされている領域が少なくない。
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