追悼
故大橋博司先生を偲んで
木村 敏
1
1京都大学医学部精神科
pp.1419-1420
発行日 1986年12月15日
Published Date 1986/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204264
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京都大学名誉教授・国立京都病院長の大橋博司先生は,去る昭和61年9月11日の早朝,喘息発作による呼吸不全のために急逝された。享年62歳であった。御家族の話では前日の夜までなにこともなく御元気だったようで,私自身も前日に勤務中の先生と電話でいろいろとお話したばかりだったので,訃報に接して俄には信じがたい気持ちだった。先生の死によって,わが国の神経心理学はその偉大な指導者を失ったことになる。
先生は大正12年9月26日,静岡県磐田郡福田町にお生まれになり,掛川中学校,第三高等学校を経て,昭和21年9月に京都帝国大学医学部を御卒業になった。インターンを終えられたのち京大の精神科に入局された先生は,昭和23年9月に大阪市立医科大学精神科助手として当時の坂本三郎教授のもとで臨床脳病理学(現在の呼称では臨床神経心理学)の研究を開始され,言語・記憶・認知・行動などの精神機能と脳との関係についての先生の一生涯を通じての思索の基礎を築かれた。
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