書評
—編集 西岡 清春(慶応義塾大学教授) 兵頭 春夫(獨協医科大学教授)—国家試験C問題のための臨床画像の診断演習〈全4冊〉
高橋 睦正
1
1熊本大学放射線科
pp.220
発行日 1983年3月1日
Published Date 1983/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205082
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医学部学生に対する放射線医学の教育の中で最も重要な目標の一つに学生にX線フィルムの読影力を涵養させることがある。しかし,実際の教育にあたっては講義時間が短いこと,実習に適切なテキストがないこと,各種の画像診断法の進歩によって広範な内容を含むようになったことなどのために,充分に目標が達せられていないのが実情である。しかし,国家試験ではC問題として画像診断,とくにX線フィルムの読影力に関する問題が数多く出題されている。
この度,西岡・兵頭両教授によつて編集された「臨床画像の診断演習」は,このような医学教育の現状と国家試験出題とのギャップを埋めるために出版されたものである。この診断演習は4巻から成っており,放射線診断学のすべての領域をカバーしている。従来の検査法はもとより,最近開発されたCT,超音波,核医学的な検査まで多くの検査法を行なった症例が呈示され,解説がなされている。例題の呈示にあたっては1枚ないし2枚のX線写真と簡単な病歴が示され,国家試験と同じ多肢選択の問題があげられ,読者はその中から解答を選択するようになっている。問題に続く解答と解説では,解答に必要な知識がよく整理され,主な疾患のX線所見,診断過程などの解説がなされている。症例によっては治療法まで解説されている。
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