Japanese
English
総説
不随意運動の生化学
Biochemical aspects of involuntary movements.
中村 重信
1
,
亀山 正邦
1
Shigenobu Nakamura
1
,
Masakuni Kameyama
1
1京都大学神経内科
1Department of Neurology, Faculty of Medicine, Kyoto University
pp.1177-1185
発行日 1981年12月1日
Published Date 1981/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406204855
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はじめに
不随意運動疾患では神経伝達物質をはじめ種々の物質の代謝異常が報告され,その治療を目指して多くの生化学的研究が行なわれている。その道を開いたのは佐野勇によるParkinson病患者脳におけるdopamine含量低下の報告である60)。その知見に基づきL-DOPAがPar—kinson病の治療に用いられて大きな効果を挙げた7)。その後,不随意連動疾患における神経伝達物質の動態が検索され,Huntington舞踏病56),日中変動を呈するdystonia64),oral dyskinesia12)で異常が認められている。普通,不随意運動の中には加えられていないが,肝性脳症でみられる振戦18),Lance-Adams症候群でみられるmyoclonus71)の場合にも神経伝達物質の異常が見出されている。さらに外傷や脳血管障上害後にみられる病的笑いでもdopamineの代謝異常が認められ69),本文では抑制経路の障害という点から不随意運動と比較する。
次にnucleotide合成異常による不随意運動がLeschら30)により報告され,プリン誘導体と不随意運動との関係についても紹介する。また,マンガン,銅,カルシウムと不随意上運動についても言及し,物質代謝の面から不随意運動治療への可能性を検討する。
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