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あとがき
金光 晟
1
1東大
pp.973
発行日 1981年9月1日
Published Date 1981/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406204826
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「脳脊髄液」という古くて新しいテーマの特集号をおとどけする。
近頃は解剖学用語に命名者の名前を併記する習慣がなくなつたので,何時頃命名されたかを知る手がかりがなくなつてきた。側脳室,第三脳室,第四脳室は紀元前3世紀のギリシャの医学者ErasistratosやHerophilosに知られていたというから随分古い話である。脳の解剖学は16世紀頃までは脳室系や脳被膜が主な対象であり,ことに脳室は精神の座として注目されたという。脈絡叢の名もGalenos (129-199頃)の命名に由来する。周知のように室間孔にはMonro (1753),中脳水道にはSylvius (1650頃)が併記される。Monroの家系は父子三代にわたってエジンバラ大学解剖学教室を主宰し,室間孔の命名者は二代目で通常Alexander Monro,Secundusの名でよばれる。Sylviusはオランダの医学者で大脳外側溝にも名を残しているが,近代解剖学の祖とされるVesalius (1514—1564)の)師匠のラテン名もSylviusなので両者は混合されやすい。後者はフランスの医学者でJacques du Bois,前者はオランダ名のFranz de le Boëとして区別する。
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