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あとがき
高倉 公朋
1
1東大
pp.761
発行日 1981年7月1日
Published Date 1981/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406204800
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- 文献概要
本誌の編集委員を30年にわたって勤められた佐野圭司東大名誉教授が,今回編集顧問になられ,その後任をお引き受けすることになった。30年間と一口にいっても,およそ人間の半生に近い永い間を勤められたわけである。本誌は昭和23年の11月に創刊号が出ているが,終戦後の混乱が一区切りついたとはいえ,まだ貧しい時代のことである。どうしてもこの際創刊号を読んでみたいと思い教室の図書室を探してみた。幸い大事に保存されていたが,第一号の表紙には「この第一号は印刷部数少数につき将来再び入手困難ですから,大切に保存して下さい」とただし書きがしてあった。その編集後記に小川鼎三先生は「神経学の近ごろの進歩はめざましい。25年まえ(今からだと58年前になる)に私どもが医学部の学生であったとき,近藤外科の臨床講義でとくに時間をさいて斎藤真博士の脳手術を見せられたことがあった。それは,私どもに深い印象を植えつけた。これからの25年に神経学はどういう道をたどるであろうか。出発の大変おくれた日本の神経学は,今から後は先頭を切ってすすみたいものである。本誌が持つ使命もなかなか大きい」と書かれている。今日の日本の神経学は,ある部門では世界の先頭をきるようになっているし,本誌の使命も確立したように思う。内村祐之先生は「脳研究が本腰でなされてゐるか否かは,一国の医学の水準をはかる重要なバロメーターである。
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