Japanese
English
総説
前庭機能とその障害
The function of the vestibular organ and its disorders.
渡辺 勈
1
Isamu Watanabe
1
1東京医科歯科大学耳鼻咽喉科
1Department of Otolaryngology, Tokyo Medical and Dental University School of Medicine
pp.645-656
発行日 1981年7月1日
Published Date 1981/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406204784
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.はじめに
身体の平衡保持や姿勢の調整は,視器,内耳の前庭・半規管(以下「前庭」とまとめて呼ぶこととする)および深部知覚器(自己受容器)などの末梢受容器からの姿勢や運動に関する情報が中枢部位で統合され,中枢よりの制御のもとに反射的に頸部・四肢・眼球などの筋肉にフィードバックされ,運動や姿勢のバランスを保つという機構によつて維持されている(図1)。
この調整機構は,正常な日常的活動においては,意識されることなしに反射的に働いている。つまり感受装置も含めて一種の「沈黙の系silent system」として活動しているのであるが,外界から異常な刺激が加わつたり感受装置や情報伝達路に障害がおこつたり,中枢の制御機構が乱れたりすると,平衡失調,運動失調,めまい,乗り物酔いなどがあらわれてくる。
Copyright © 1981, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.