特集 てこずった症例・難治症例にどう対応するか
耳領域
両側前庭機能障害に対する前庭リハビリテーション施行例
水野 耕平
1
,
増田 圭奈子
2
,
山野邉 義晴
3
,
魚島 理智
1
,
和佐野 浩一郎
4
,
神崎 晶
2
Kohei Mizuno
1
,
Kanako Masuda
2
,
Yoshiharu Yamanobe
3
,
Riichi Uoshima
1
,
Koichiro Wasano
4
,
Sho Kanzaki
2
1国立病院機構東京医療センターリハビリテーション科
2国立病院機構東京医療センター臨床研究センター聴覚・平衡覚研究部
3国立病院機構東京医療センター耳鼻咽喉科・頭頸部外科
4東海大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科
キーワード:
両側前庭機能障害
,
前庭リハビリテーション
,
DHI
Keyword:
両側前庭機能障害
,
前庭リハビリテーション
,
DHI
pp.997-1000
発行日 2024年9月1日
Published Date 2024/9/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000001234
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はじめに
両側前庭機能障害は,両側の前庭機能が低下した状態であり1),特発性のものと原因が明らかなものがあるが2),非特発性のものとして耳毒性薬物,両側前庭神経炎,両側聴神経腫瘍などがある3,4)。両側の前庭からの入力が消失すると,前庭動眼反射や前庭脊髄反射が機能しなくなることで,強い平衡障害を伴う5)。一般的に,一側の前庭障害の回復過程は,健側からの前庭情報を用いることにより障害側前庭神経核ニューロンの反応性が回復することで前庭代償が進行する1)。前庭代償が遅延して頭部や身体の動きによりめまいや平衡障害が誘発される患者に対して,前庭代償の促進,前庭動眼反射と前庭脊髄反射の適応(adaptation),感覚代行(substitution)と感覚再重み付け(reweighting),慣れ(habituation)を誘導する平衡覚訓練が行われる1,6,7)。前庭機能が両側とも障害された場合,健側からの前庭入力を十分に利用することができず,adaptationが効きにくいため,前庭代償にもかなりの時間を有する3)。
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