Japanese
English
特集 最近注目の神経ペプチド
神経ペプチドと下垂体ホルモンの分泌
Neuropeptides and the secretion of pituitary hormone.
若林 一二
1
,
鎮目 和夫
1
Ichiji Wakabayashi
1
,
Kazuo Shizume
1
1東京女子医科大学内科
1Internal Medicine, Tokyo Women's Medical College
pp.505-514
発行日 1980年5月1日
Published Date 1980/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406204585
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はじめに
下垂体前葉ホルモンの分泌は視床下部神経細胞で産生されるreleasing hormoneによつて調節されることは広く理解されているところである。しかし,releasinghormoneとして視床下部組織から分離,同定されたTRH,LH-RH,Somatostatinは単に視床下部ばかりでなく中枢神経系に広く分布し,中枢神経に対する直接作用を有することも明らかになつた。また,これら,rele—asing hormoneはナメクジ,カタツムリのような系統発生学的に古い下垂体を持たない生物の脳内にも存在することが判つた。したがつて,releasing hormoneとして理解されてきたペプチドは,本来はneurotransmitterないしneuromodulatorとして作働し,その一部に向下垂体作用(hypophysiotropic effect)を持つ物質として理解する見解も生れてきた22,38)。さらに,releasing hor—moneとして視床下部から同定されたSomatostatinは中枢神経系ばかりでなく,生体内に広く分布し,多彩な生物学的作用を持つことが明らかにされ,従来,ホルモンとして理解されてきた概念を逸脱する物質として注目を集めたことは記憶に新しい13)。
TRH,LH-RH,Somatostatinの同定と相前後して,脳内には表1に記載したように多数のペプチドが存在することが次々と明らかにされている。
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