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あとがき
中西 孝雄
1
1筑波大
pp.341
発行日 1980年3月1日
Published Date 1980/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406204564
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- 文献概要
「神経内科」,「脳神経外科」,「Brain Research」,「Neuroscience」,「Neuro-science Letter」など,最近数年間における神経科学に関する新しい定期刊行物の数は極めて多く,従来の定期刊行物を併せると,その数は枚挙にいとまがない。しかも,各誌とも内容は極めて充実しており,そこには多くの新知見が盛り込まれている。神経科学がこれほど花々しい発展を遂げたことはかつてなかつたことである。これはひとえに若い優秀な研究者が,神経科学に興味をもち,研究に精励した成果にほかならない。
このような神経科学の発展がいつまで続くかを見通すことは大変むずかしいことであるが,おそらく癌研究と共に未来永劫に続くと言つても過言ではあるまい。癌に対しては,人類の生命を守るための必要性に迫られた研究が続けられるわけであるが,神経に対しては,「考える人間」の神秘を解明するために研究が続けられることになるであろう。いくらコンピューターが進歩しても,コンピューターを作るのは人間である。いくら計算が早く出来ても,考える人知に優る機能は果せないであろう。「考える人間」の神秘を一歩一歩解明してゆけるのは,神経科学をおいて他にはないといえる。
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