Japanese
English
特集 痴呆
痴呆の病理
Pathology of dementia
石井 毅
1
Tsuyoshi Ishii
1
1束京都精神医学総合研究所
1Psychiatric Research Institute of Tokyo.
pp.43-57
発行日 1979年1月1日
Published Date 1979/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406204355
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I.痴呆とは何か
痴呆を最も端的に表現すれば「精神的・知的機能の衰退」といえよう。この際,幼少時からの知能発達不良は精神薄弱(mental deficiency)として,痴呆とは一応区別する。
精神的・知的機能の衰退は,心理的,環境的要因によつても惹起され得る。たとえば,葛藤による神経症など。しかし,これらは,脳の器質的な変化を伴わない,いわゆる機能的障害に属するもので,ふつうは痴呆として取扱わない。にもかかわらず,この種の精神機能障害はしばしば器質性の痴呆と誤つて判断されることがあるほか,器質性痴呆の際にその症状の修飾のみならず,知的機能そのものに複雑に干渉してくることが多いので,決して無視できない。その理解なしに痴呆を評価,診断すれば,しばしば誤りを犯すであろう。
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