Japanese
English
特集 痴呆
正常圧水頭症における痴呆
Dementia in normal pressure hydrocephalus
神保 実
1
,
馬場 元毅
1
Minoru Jimbo
1
,
Motoki Baba
1
1東京女子医大脳神経センター脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Neurological Institute, Tokyo Women's Medical School.
pp.19-29
発行日 1979年1月1日
Published Date 1979/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406204352
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I.はじめに
正常圧水頭症は,1965年に,Hakim11),Adams1)らによつて,疾患単位としてはじめて報告以来,幾多の報告がなされ,症候群としてはすでに定着している。しかし,この症候群の本態については,まだ全てが解明されているわけではない。このため,若干臨床上の混乱がおきている。正常圧水頭症は,shunt術によって症状の軽快をみるtreatable dementiaとされているが,必ずしもshunt術によつて軽快しないのである。その理由としては,一つは正常圧水頭症という症候群の拡大解釈である。本来,正常圧水頭症として取扱われるべきでない病態を,臨床上の印象から,正常圧水頭症として治療している場合が少なからずあるように思われる。二つめの理由は,しからば,正常圧水頭症の診断基準に厳密にあてはめて診断し手術を施行すれば,手術は必ず有効なのかといわれると,必ずしもそうはいえない。従来,正常圧水頭症の診断基準として,神経症状,検査所見など多くのものがあげられているが,shunt術の適応をきめる場合,どれが最もreliableかといわれると,はつきりと断言出来ない。少なくとも一つではない事は確かである。手術適応の決定に際し最も確実なcriteriaを模索しているのが現状である。
shunt術は簡単な手術であるので,有効か無効かは,手術してみればわかるという安易な考え方がある。
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