ご存知でしようが
Creutzfeld-Jakob病
山本 達也
1
1東大医学部脳研病理
pp.398
発行日 1977年4月1日
Published Date 1977/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406204052
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Creutzfeld-Jakob病(以下C-J病と略す)は,長い間神経系の変性疾患と考えられてきたが,1968年にGibbsらが,この疾患をチンパンジーにtransmitすることに成功して以来,C-J病は最近のトピックであるslow virus感染症の1員と考えられるようになつた。昨年このC-J病のフォルマリン固定脳にもなおウィルスが残つていたという報告が現れたので,これを機会に関連する若干の論文を含めて紹介したい。
1974年にTraubらは初老期痴呆の生検と剖検に際しての注意を述べた小論を書いた。そこではGibbs, Ga—djusekらのC-J病の研究をもとに,papulosis atro—phicans maligna (Köhlmeier-Degos)と進行性精神神経障害を合併した1人の神経外科医からtransmitできた例も挙げて,注意すべき点を具体的に述べている。これと同じ年にはまた,剖検によつてC-J病の変化が認められた1患者から角膜移植をうけた初老の婦人が,18カ月後発症して8カ月で死亡,その臨床症状と剖検所見がC-J病に相当するものであつたことから,本病のヒトからヒトへの伝播の可能性を論じた短かい報告がDuffyらによつて発表された。
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