書評
—Hector C. Sabelli 編—Chemical Modulation of Brain Function: A Tribute to J.E.P.Toman
融 道男
1
1東京医科歯科大学神経精神医学教室
pp.805-806
発行日 1976年8月1日
Published Date 1976/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203928
- 有料閲覧
- 文献概要
この本は故J.E.P.Toman教授へのたむけとして編まれたものである。Jim Toman.なる人物については冒頭の献辞で友人のNickerson教授がその業績から人となりまでを過不足なく描写しており,それによるとこの活動的で多才な神経薬理学者は,特に中枢神経系への興味を抱き続け,生命と生命過程に対する深い理解から,さいごには精神という最も複雑な機能の生物学的解明を目論んでいたという。彼の関心はとどまるところを知らず,どんな討論にも広汎な知識と卓越した批判能力で参加し,毎朝新しいアイデアをもつて研究室に現われたとジョークされる程であつたという。彼のこのような資質によつて彼のまわりの研究者や彼の元から巣立つた学者たちがおおいに触発されたことを献辞は述べているが,各論文の中に,Tomanとの討論によつて研究の発想が生じたなどと記されているので,これは事実だつたのであろう。
集められた19篇の論文は,神経伝達物質に関する9篇,痙攣と抗痙攣剤に関する5篇および情動や精神疾患の生化学的研究が中心となる5篇に分類することができる。
Copyright © 1976, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.