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運動ニューロン疾患との関係 広義の運動ニューロン疾患の概要と,そのうち特に成人孤発(adult sporadic)型進行性萎縮症すなわち狭義の運動ニューロン疾患〔筋萎縮性側索硬化症(ALS)と脊髄性進行性筋萎縮症(SPMA)を代表とし,あるいは両者を併せてALSと表現する〕については,すでに本シリーズ4〔脳と神経,26(4): 406, 1974)に述べた。今回は広義の運動ニユーロン疾患と関連した病型のうち,Kugelberg—Welander病(KW)およびWerdnig-Hoffmann病(WH)の臨床上の問題点を主として検討する。
両者の類似・相違点 1)周知の類似点としては①二次運動ニューロン神経細胞にその病変の主座を有する変性疾患で,②遺伝家族性ではあるが孤発例も少くなく,③通常非成人型〔先天型〜乳児期(WH)ないし小児〜若年期(KW)〕発症の,④進行性筋萎縮症である点があげられる。2)両者はKW症候群およびWH症候群と表現されることもあり,たがいに一線を画し得ないとする意見(発症年令や経過の点で中間的な症例の認められることや,同一家系内とくに同胞間に両型の共存する報告であることなどより)が多い。しかしながら,KWは概念の拡大により症候群的性格が強いのに対しWHはentityとしての性格が比較的よく保たれていると見なし,区別の困難な症例は特殊なものとして扱うべきであるとの意見もみられる。3)典型例ではWHの発症は先天型ないし乳児期であるに比し,KWでは小児〜若年さらに成人期に及ぶ。4)一般にKWでは緩徐進行性,予後良好であるに対しWHは急速な進行をとり予後不良とされている。5)発症部位特異性については,KWの場合典型的な四肢近位型ないし肢帯型以外に概念が拡大され,他の筋萎縮症のほとんどすべての分布形式がvariationとして追加報告されているが, WHの場合は脊髄神経支配領域全体で,一部に下部脳神経領域の加わる形式はほぼ一定である。6)以上の諸点を含めて両者の要点は第1表に一括して示した。
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