症候群・徴候・45
Lambert (ランバート)徴候
平山 恵造
1
1順大脳神経内科
pp.982
発行日 1975年9月1日
Published Date 1975/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203769
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粘液水腫患者においては自発運動のおそさのみならず,腱反射のおそさも古くから知られていたところである。E.H.Lambert他3名は1951年,この現象をアキレス腱反射について電気生理学的に検索し,この反射における筋収縮と弛緩の速さが遅いことを明らかにした。すなわち粘液水腫の77%でこの速さは遅延し,しかも基礎代謝率に平行するが,基礎代謝の低下する他種疾患においてはその遅れをみることはないという。爾来,粘液水腫患者にみられるこの腱反射遅延slownessをLam—bert徴候と呼んでいる。
しかしながら,この腱反射遅延現象を粘液水腫で,しかも電気生理学的に検索し,ほとんど同じ結論を出している研究が,同じMayo Clinicで,W.C.Chaneyにより1924年に発表されている。その後もこれに関する報告は散見されるが,その中には反射の遅延に否定的なものもあつて,Lambertらはこれらが検索例数の不足によることを問題とし,対照例を含めて236例について上記の検索を施行した。その結果は前述の如くChaneyのそれと内容的にみてほとんど同様であり,逆にいえばChaneyの業績はpriorityをもっと共に十二分に評価されるべきものであり,この徴候にLambertの名のみ冠されていることはやや理解に苦しむ。Chaney-Lambert徴候と称すべきように思われる。
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