今月の主題 筋疾患とその周辺
神経原性筋萎縮と筋疾患の鑑別および両者にまたがる疾患群
Werdnig-Hoffmann病
瀬川 昌也
1
1瀬川小児神経学クリニック
pp.285-287
発行日 1985年2月10日
Published Date 1985/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219627
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19世紀末にWerdnig1,2)とHoffmann3)は,生後5〜7月に筋緊張低下および筋力低下を主徴として発症,進行性の経過をとり,3〜7歳,発症後1〜4年で死の転帰をとることを特徴とし,病理学的には脊髄前角細胞の変性と脱落を主病変とする小児例をそれぞれfrühinfantile progressive spinale Atrophie2),あるいはhereditäre progressive spinale Muskelatrophie im Kindesalter3)として報告した.これがWerdnig-Hoffmann病(以下W-H病)の病名の由来となる.しかし,WerdnigとHoffmannの報告例では,乳児期に死亡した症例のないこと,また,生下時から乳児期前半は異常を認めず,正常の運動機能の発達を示すことが強調されたため,同様の臨床像を示しながら乳児期早期に発症する症例には別の病名が付されていた.しかし,1927年のGreenfieldとStern4)の病理学的検討により,この多くは生下時あるいは胎生期に発症し,急性の経過をとるW-H病であることが初めて明らかにされた.一方,Wohlfart5)およびKugelbergとWelander6)の報告は,幼児期前半から思春期にかけて発症し,緩慢な経過をとる脊髄性筋萎縮症のあることを明らかにした.
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