読後随想
—A.Toffler著・徳山 二郎訳—「未来の衝撃」
長洲 光太郎
1
1関東逓信病院外科
pp.1282-1283
発行日 1971年7月10日
Published Date 1971/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203782
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学問の楽天主楽
フユーチュアトピアの夢
宇宙ロケットとコンピューターに象徴されるような未来学が流行している.好むと好まざるとにかかわりなく,われわれはこのようなフユーチュアトピアの夢の流れの中に自己を発見するだろう。そこにあるのは医学もふくめて学問の進歩という楽天主義である.悪夢のような第2次大戦の非人間性と暴虐と狂気さえも,勝利の栄光物語のかなたに押しのけられ,もはやわれわれは真に戦慄をもって二十数年前を思い出すことさえできなくなってしまった.われわれの眼は前の方へ,遠くへ,フユーチュアトピアの方へむけられ,そうしなければ現代を生きることができなくなっている.
Alvin Toffler著「Future Shock」(1970)などもまたこのような楽天主義を根本にもった未来学の書である一たとえそれが未来のショックを警告していようとも!
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