総説
脳のいわゆる老化構造の超微形態について(I)
小柳 新策
1
1新潟大学脳研究所神経病理学教室
pp.637-653
発行日 1974年7月1日
Published Date 1974/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203563
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はじめに
Alzheimerの神経原線維変化,老人斑,Pickの嗜銀球,顆粒空胞変性,平野小体などのいわゆる脳の老化構造は,鍍銀染色法の開発とともにすでに今世紀初頭より知られている。そして多くの組織学的,組織化学的研究が行なわれてきたが,その形成の真の原因と形成過程の解明に多くの問題をのこし,ばく然と脳の老化と結びつけられて来たと言っても過言ではないだろう。一方1963年のKidd34)やTerry77)による最初のこれら病変に対する電子顕微鏡による観察以来10年経過した今日,Alzheimerの原線維変化,老人斑などはその超微形態も一応完成されたと同時に形態的手段としての電顕観察はつの限界に達つしているようにも思える。また顆粒空胞変性に関しては電顕観察はほとんど行なわれていなく,Pickの嗜銀球に関しては少数の観察があるにすぎない。
以下これらのいわゆる脳の老化構造について著者自身の剖検例による経験を中心に,電顕で解明できた点とそれにより新たに提起された問題に焦点をあわせながら,以下3回にわけ総括的にのべてみたい。
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