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緒言
振戦,筋強直,akinesiaを3主徴とするパーキンソン病は臨床的には極めて古くから注目された疾患であるが,その病因については幾多の精力的な検索にもかかわらず現在もなお明らかにされていない。大脳基底核のdopamineが著明に減少しているという最近の発見は本病因の本質に大きく一歩近づいたと言えるが,dopa—mineの減少がパーキンソン病の原因か,結果かという大きな問題が未だ残されている。
衆知のごとく嗜眠性脳炎,haloperidol等の薬物によつてもパーキンソン病と類似ないしは全く同一の臨床症状がひき起され,これらは症候性パーキンソニスムとしてパーキンソン病とは区別して考えられている。このように異つた病因により同一の臨床病理学的変化がひき起されるという事実は本病が必ずしも単一の病因によるものとはかぎらないという可能性を示している。
一方臨床的にも本病は個々の症例により著しい症状の差異がみられ,本病に対するいかなる方面からの検索に当つても,精細な臨床的観察が前提となる。
今回著者らはパーキンソン病を免疫学的立場から検索する口的で一元平板免疫拡散法を用いて20例のパーキンソン症候群のCSF IgGを測定した結果,高頻度にCSF IgG増多を認め,かつ臨床症状の分析の結果CSFIgG増多を示すものと,示さないものとの問には経過,神経症状等の相異が有ることが明らかとなつたので報告する。
By means of the single radial immunodiffusionmethod CSF-immunoglobulin-G (IgG) values weredetermined in 20 cases of Parkinson's syndrome(of them 18 were cases of Parkinsonism). As aresult it was found that 8 cases showed an increasein the CSF-IgG level. In addition, 5 cases revealeda rise in CSF-IgG%, while two cases demonstratedan increase in CSF-TP.
These 8 cases had the onset of disease in moreadvanced age with a greater tendency to havepsychotic symptoms and akinesia than the ten othercases of Parkinsonism. Moreover, EEG abnormalityand ventricular dilatation proved to be more markedin these 8 cases.
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