検査を築いた人びと
髄液のグロブリン反応を考案した マックス・ノンネ
深瀬 泰旦
1
1東京慈恵会医科大学医史学
pp.662
発行日 1986年5月1日
Published Date 1986/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203724
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19世紀の終わりごろには,今日では想像できない数の梅毒患者が存在した.それも,中枢神経系を侵された神経梅毒の患者が多かったのである.このような梅毒性疾患を正しく診断するために生まれたのが,ノンネとアペルトとが共同で開発した髄液のグロブリン反応である.しかし髄液のグロブリンが増加するのは,神経梅毒ばかりでなく,髄膜炎や多発性神経炎においてもみられるので,ノンネ・アペルト反応は広く髄液のグロブリン反応として採用されるに至った.
マックス・ノンネは1861年1月13日,工場経営者の息子としてハンブルクに生まれた.「門脈血栓症の原因について」の論文で博士号を取得したノンネは,ハイデルベルク大学の内科教室でエルプの助手となって,神経系疾患の研究に力をいれた.2年後ノンネは,エルプの紹介状をもってシャルコーの指導を受けるためにパリに赴いた.シャルコーから強い印象を受けたものの,そのヒステリーについての考え方には多く疑問を抱くようになった.
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