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L-DOPAがパーキンソン症候群の治療剤として広く臨床的に使用されていることは衆知のことである。L—DOPAによる治療が我々の強い関心を引くのは,その優秀な治療効果にもよるが9〜11),それ以上に,L-DOPAが中枢神経系の重要な刺激伝達物質の一つであるDopa—mineの前駆物質であり1,3),パーキンソン症候群やある種の精神病でDopamine代謝の異常が確認されてきたからである4,5,14)。すなわち従来のanticholinergic agentsを中心とした抗パーキンソン剤と異なり,L-DOPAはパーキンソン症候群の病態生理に直接迫るものとして,またL-DOPAの作用機序の研究は,パーキンソン症候群やある種の精神障害の病態生理や症状発現の機序を解明する手がかりを与えるものとして期待し得るからである4,5)。
L-DOPAが広く臨床に使用されるにつれて,L-DO—PA治療中に不随意運動,筋緊張低下および精神症状を主体とした独特な症候群が出現することが観察され9,11),1970年Celesia2)はこれをlevodopa psychosis-dyski—nesia complexと名づけて紹介した。わが国においても著者等8)によつてその典型例が本誌に症例報告されている。最近私共は本症候群の症例を追加経験するとともに,本症候群と血管障害に基づくバリスムスとの間に臨床的に多くの類似性があることを見出したので,両者に共通の臨床特徴を挙げ,併せて両者の病態生理につき若干の考察を試みようと思う。
Our study concerns 2 cases of Parkinson syn-drome that presented L-Dopa-induced psychosis-dyskinesia complex in the course of treating them with L-Dopa, and 2 cases with hemiballims asso-ciated with cerebral vascular lesions, and clinical similarities between these two groups of patients were pointed out. Characteristic symptoms and signs in these two groups were ballistic-choreaticmovement, muscle hypotonia and mental manifes-titations represented by manic state or a state of drunkenness. Also some discussion was made on clinical similarities and pathophysiology of the two groups.
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