Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
緒言
最近実験解剖学的な研究方法として実験動物の脳内に種々の方法で病巣をつくり,そこから出る変性線維をMarchi法1),あるいはNauta-Gygax法7)によつて染色して脳内の線維結合を検索するという方法がよく用いられている。ことにNauta-Gygax法を用いての研究はさかんであり,その変法も種々発表されている。ところでこのような場合一番問題になるのは神経線維に変性を起させる起源となる病巣を,ことに脳の深部でつくる場合,如何に正確に他の部分に影響を与えることなくつくるかということである。このため細い電極を用いてその先端部で凝固巣をつくるとか6),あるいは超音波を用いて破壊巣をつくるとか5)いう方法が用いられているが,何れも本来の目的を十分達せしめるものではない。
このため山鳥は最近臨床医学の分野でよく用いられる様になっている内視鏡に着目し,電極付の細い可撓性ファイバースコープを製作して,これを小脳延髄槽から脳室内に挿入し,この脳室鏡の直視下で凝固巣を作製するならば第三脳室および第四脳室壁の核や構造物を他にあまり影響を与えることなしに正確に破壊出来るのではないかと考えて,町田製作所に依頼してこの様な脳室鏡を試作した。しかしながらこの1型の脳室鏡は直径が3mmであつた為,犬を用いた実験では第三脳室まで達せしめるのは困難であつた10)。そこで今回著者らはさらに改良を加えた直径2.3mmの2型の脳室鏡を製作して脳室内の観察および凝固巣の作製を行つたところ,ある程度満足すべき結果を得ることが出来た。
By using a new type of 2.3mm calibered fiber-scope which is equipped with an electro-coagulating apparatus (YAMADORI type II), the interior of the fourth and third ventricles of dogs were observed, and lesions were produced at the same time in the third ventricle. By this experiment, it was demon-strated that this kind of small calibered ventri-culoscope is effective to produce lesions accurately on the wall of the third ventricle without affecting the other parts of the brain.
Copyright © 1972, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.