海外文献
気脳撮影後の脳室拡大/少年期糖尿病患者らの知覚認知閾
Rovit, R. L
,
Schechter, M. M.
,
Ortega, B.
,
Brinker R. A.
pp.1410,1411
発行日 1972年10月1日
Published Date 1972/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203210
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8例の交通性水頭症の患者に気脳撮影を行なつた所,検査后脳室の拡大を見た。水頭症の原因としては.脳底部のクモ膜炎2例,特発性脳内血腫1例,5例が外傷性である。拡大した脳室の部位は,前角,側角にもつとも著しい拡大がみられたが,第三脳室,中脳水道,第四脳室等にもみられた。初回の検査后,24時間たつて残つている空気を再び撮影したのであるが,2例でminimal,3例にmoderate,3例に15〜19mmに及ぶ著しい拡大がみられた。数例では72時間の検査でも更に脳室の拡大がみられたが,大体,24時間で脳室の拡大は最高になるようである。注入した空気は,これ等の症例では2週間にわたつてかなり残つているが,漸次減りつつはあり,脳室に空気が残つている事が脳室拡大の原因とはなり難い。
脳室の拡大は2〜13日続いている。拡大をきたす原因としては二つの事が考えられる。一つは空気が穹窿部のクモ膜下腔を満たし,髄液の吸収が防げられる。健康人の場合には考えられない事であるが,これらの症例ではすでに病的状態が存在しているため,吸収不全がすぐ表面にあらわれる。もう一つの考えられる原因は,脳室内の髄液が空気で置換されるため,今まで行われて来ていた,脳室壁を通しての髄液の吸収が妨げられる事である。実験によれば脳室系を閉塞させると1〜2時間で脳室の拡大がおこつてくる。
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