書評
—Janzen 著—Elemente der Neurologie auf der Grundlage von Physiologie und Klinik
井形 昭弘
1
1東京大学脳研神経内科
pp.850
発行日 1971年7月1日
Published Date 1971/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406202941
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著者のJanzen教授はハンブルグ大学神経科の主任で,神経生現的な立場から臨床にとりくんでいる第一人者であるが,本書は著者の考え方に沿つて書かれたものということができる。299頁の比較的薄い本であるが,かなり多岐にわたる内容が独得の配列の下におさめられている。全体が7章からなつており第1章では神経系の甚礎的事項,特にニウロン,グリア,シナップス等の形態と機能の結びつきや中枢神経系の局在と各症状との関連が述べられており,本書中最も重点がおかれている部分である。いずれも簡明な記述の中に初歩的な知識と最近の知見がわかり易くまとめられている。第2章では多くの神経症状について症候別に相互の共通性をひき出し,生理学的基礎知識と結びつける試みがなされている。その内容は従来の分類にとらわれず,著者の得意とするテーマに従つて任意に項目が選ばれておりそれぞれ独特の短い解説がつけられている。
例をあげると,知覚障害,運動麻痺,神経痛,頭痛,めまい,機能的ミオパチー(ミオトニーとミアテステを一括して)不随意運動,失語症等であり,また,頭蓋または脊髄腔内の局所占有性病変,外傷および循環障害は一括して主として血行動態という面から一般的な生理学的原則を抽出しようとしている。
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