紹介
—Walter Schulte著—Klinik der “Anstalts”—Psychiatrie
岡田 靖雄
1
1松沢病院
pp.499-501
発行日 1963年6月15日
Published Date 1963/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200578
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現在,“病院精神医学”は存在しない,という声も聞かれる。また病院精神医学は存在するにしても人によりその内容は非常に異なつているだろう。いつたい病院精神医学の内容はなんなのか,一部の人が考えているような病院管理面だけのものなのか,あるいは精神医学というよりは病院における精神科医療という実際面しか含まないものなのだろうか?私は,病院における精神科的な実践と理論化との両面の特徴をまとめたものとして病院精神医学は存在するしそれを確立しなくてはならないと考えている。ともかくも“病院精神医学”の内容を明らかにせずに,それが存在するかどうかを議論することは大変おかしいことであろう。
ここに紹介する“Klinik der Anstalts'-Psychiatrie”(198ページ)の著者Prof. Dr. Walter Schulteは,ずつと大学のクリニックですごしたのち,Güterslohの院長を1954-60とつとめ,のちE. Kretschmerのあとを追つてUniversitäts-Nervenklinik Tübingenの主任となつた人であるから,彼の意見には十分耳を傾けるべきものがあるだろう。この本は,Landesheil-und Krankenanstalt Gütersloh―いまはWestfälisches Landeskrankenhaus-Fachkrankenhaus für Psychiatrie und Neurologieとよばれている―で著者がSimonの仕事を発展させようとしてやつたことを中心にまとめたものである。
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