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あとがき
萬年 甫
pp.336
発行日 1970年3月1日
Published Date 1970/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406202696
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先日,ある大学の脳外科の教授から「脳と神経」に投稿してもなかなか載せてもらえないという苦情をうかがつた。くり返して申すまでもなく,近年投稿件数が多く,審査を早めても,活字になるのに1年近くかかるのが実情で,原著者としてはさぞ待ち遠しくも感ぜられよう。しかしこのことはなにも本誌にかぎつたことではなく,洋の東西を問わずどの雑誌にもありがちのことで,つい先日も,やはり神経学関係の雑誌の編集後記で同様のことがなげかれていた。しかし,多数の雑誌のなかには,投稿がなくて存続が危ぶまれるものもあるのだから,投稿件数が多いのはむしろ歓迎すべきことなのかもしれない。
しかし問題は内容の質であり,このことについてはこの欄でも何回となく論ぜられた。むしろそれよりも本誌にとつての当面の課題は投稿論文の大部分が脳神経外科領域のものだということである。これは本誌が同学会の機関誌的なものゆえ,やむをえないことではあろう。それに基礎医学からの投稿はきわめて少ない。これは,それぞれの領域に応じ,内外の専門誌に投稿される場合が多いためであろうが,年に数本というのはいかにもさびしい。しかも,こうした傾向が現われて久しいとあつては,このへんで編集方針を考えなおし,脳神経外科学会機関誌としてはつきり性格づけるのも一法と思う。このことについてはすでに先月号の編集後記のなかで,塚越委員が論じておられるが,私も氏とまつたく同意見である。すでに22巻をかさね,早急な改変は無理であろうが,各方面の意見もいれて,新方針をうち出すべきではあるまいか。
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