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あとがき
萬年 甫
pp.204
発行日 1966年2月1日
Published Date 1966/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201999
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- 文献概要
本号には学会の特集がふたつ載つていろ。発表が行なわれてから1年近くもたつての掲載では意義がうすれるとの御批判もきかれるのであるが,それぞれの学会の歩みの一里塚として活字にして,のこしておくことは長い眼で見て決して意味のないことではないと思われる。しかし,これがあまり多くの頁数をとることになると,本誌の原著優先の主旨がうすらぐおそれも出てくる。両者のバランスをどうとるかが編集者一同にとつてはなかなか頭のいたい問題であろ。
原著投稿のさいの引用文献の書き方が人によりまちまちである。今後は投稿規定を厳におまもり願いたいと思う。引用論文の始めと終りの頁数を書いてないものは,はたしてその人がその論文を直接に読んだかどうかを疑われても仕方がないといえよう。外国の雑誌では,誰かの著書を引用する場合は,本文の頁数だけでなく,序文や目次の頁によく使われる時計数字の分まで明記するよう要求してくるものがあるぐらいである。自分の名を冠した論文が正しく評価されることをのぞまぬ人はあるまい。自分のものが正しくあつかわれることを欲するなら,人のものに対してはいつそうの礼をつくすのが当然であろう。これは内容の評価についても同じである。とかく人のあらは見えやすいが,人の仕事にあまのじやくでありたいなら,自分の仕事に対してはその2倍も3倍もあまのじやくでなければなるまい。
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