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あとがき
萬年 甫
1
1医歯大
pp.445
発行日 1980年4月1日
Published Date 1980/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406204579
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暦の上では12月が「師走」であるが,教職にあるものにとっては3月が文字通りの「師走」で,試験の採点に追いまくられている。論文の審査の次に苦手のことがらである。近頃はやりの試験方式,いわゆるマルティプルチョイスとかそうしたやり方が能率的には一番よいのかも知れないが,自分の関係する試験はすべて学内試験なので,能率は二の次にすべて従来通りの記述方式をとっている。そして答案をよみ,誤字を正し,理解が充分でないところは口答試問で質疑応答する。どうしても知識の足りないものにはもう一年勉強してもらつて再度同じことを繰返す。筆記試験の結果をそのまま発表すると,合格者はよいとして,不合格者の中には半信半疑のものもある筈で,上述の方式だと一応納得して勉強し直す。同僚からはなんでそんなに時間をかけるのか,解剖学教室はよつぽど暇なんだなと皮肉られたりするが,今のところ変更する意志はない。医学教育は義務教育ではなく,医師になりたいと志ざす人間の集まりの筈であるが,必ずしも医師として適性であるかどうか疑問と思われる人々が少なからず含まれていることが毎年の試験を通じて痛いほど分る。これはあながち筆者の関係する狭い範囲のことではあるまい。しかしこれを積極的に是正する方法は現状では全くないし,コンピューター方式ではこういうことすら問題にはならないと思われる。
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