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最近,神経学の急速な発展は神経解剖,神経病理,神経生理,神経化学,脳神経外科,神経放射線学など基礎・臨床ともに多様に分化しておのおの独立の専門分野を開きつつある。これに対応し,臨床神経学の立場から統合一括総覧しうるようにとの意企のもとに,オランダのDr.P.J.Vin—kenおよびDr. G. W. Bruynの2人が中心となり,これに世界各国より9人の権威が監修に参加して,約700名の国際的な神経学者が分担執筆して全30巻に及ぶHandbook of Chnical Neurologyが向こう約8年間に刊行される予定になつている。
ここに紹介する本書はこの企画の第1回配本で,第5巻にあたり,頭痛と顔面・頭蓋神経痛を取り扱い39章,39名の分担執筆となつている。周知のように頭痛と顔面・頭蓋神経痛は臨床各科領域において最も普通に見られる症状のひとつである。これが軽度の場合でもこのために患者の日常生活や作業能率が妨げられることは少なくない。その上,頭痛は自覚症状であつて,他覚症状分析が容易でないので普通は原因をあまり追究することなく,対症的に鎮痛剤などが投与されているが,本来なら原因療法を行なうべきであろう。この意味において本書は原因探究の参考書として好個のもので,頭痛の分類,発生機序,成因,検査方法,臨床症状,鑑別診断などに始まり,39章のうち25章にわたつて,いろいろな成因による頭痛の臨床像と治療について述べている。この中には頭部外傷後遺症および鞭打損傷のものも含め,本邦ではあまり取り上げられ,ないcluster headache,cough head—ache, ice cream headache, aliergic headacheなどもおのおの1章として論じられている。
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